ここにきて初めて向けられた、不審人物を見る目。


むしろ、今までの彼らが異常だったのだと分かって、ごく一般的な反応に安堵した。



と、赤みが引かない顔で私からできる限りと距離をとって訝しげに申し立てかけた彼の声は、瞬間的に素っ頓狂な声へと変貌を遂げた。



「あれ、楓斗。溜まったドラマを見るから今日は1日、部屋に篭るって言っていなかった?
ああ、空も一緒だったんだね。おはよう」



ちょうど戻ってきた聖の、“楓斗”と“空”っていう名前。


目を向ければ、今しがた悲鳴をあげた男の子と、その後ろから現れて彼を驚かせた、眠そうに目をこする見覚えのある人物。



「……あ、」



さっきの、道を教えてくれたイケメンさん。


同じ寮、だったのか。