聖はこれ以上何かを言うのを諦めたらしく、無関心を決め込んで、僅かに残っていた紅茶を飲み干す。



この騒々しい空間で平静を保つよう心がける。


これから毎日続くんだから、嫌でも慣れないと。



「天音ちゃん、おかわりはどう?」


「いらない」



同じく、気を逸らさないと紛れないのかもしれない聖の好意を断る。


「そっか」と少し残念そうにする聖は、お茶の追加のためにキッチンの向こうへと姿を消した。



……失敗、した。


嘘でも欲しいって言っておけばよかった。


1人ここに残されるのは、色々と精神が参ってしまう。



本当は案内が欲しいところだけど、やっぱり聖に部屋の場所だけ聞いて早々に退散しよう、とそろりと立ち上がる。


なるべく、大声で言い合いをする2人の目に止まらないように……




——と。