そして……
両開きの玄関をくぐると、すごい勢いで何かが近づいてくる音がする。
何だかすごく嫌な予感…。
案の定、思い切り突進してくる光邦。
「あれ誰や!?」
「………へ」
なに。
どれ、誰が……?
意味が分からず困惑していると、肩を勢いよく揺らされた。
「あのべっぴんは誰や言うとるんや!誰や誰!?意味分からんわ!!」
「…や、お前のが意味分かんねーよ」
ガクガク揺れる視界の端で、呆れた顔の楓斗を捉える。
何でもいい、から……
「……うっぷ。たす、けて…」
はずみで酔って吐き気を催す。
視線を彷徨わせていると、光邦の手が叩き落とされた。
「「「……え…」」」
“え”、ってなに…。
妙に揃った声と視線。