覚えがないからまた、彼ら絡みだろうか。
Sクラスの面々を頭に浮かべる。
前にも似たことがあって、女子に責められたから、少しだけ警戒する。
だけど、その日はそれ以降、放課後になるまで目が合うことはなかった。
* *
「……でね、それでみっつーが腰打っちゃって立ち上がろうともがいててね、それがまた面白くって…」
放課後、琉羽とお喋りしながら寮に戻ってきた。
何故か空に右手を握られて、それに対抗した琉羽に左手を繋がれて。
……間に挟まれながら。
正直、二人の歩幅が合ってなくて歩きにくいけど、言っても無駄なことは分かってるから黙っていた。
話題は、お菓子を隠して琉羽に追いかけられてたら足を滑らせて転落した、光邦の面白おかしい幼少期。
幼なじみの二人ならではの話に、口元を緩ませながら耳を傾ける。