隣の席から声をかけてきた琉羽の声に、はっと我にかえる。
声を絞り出したとき、やっと冷静になれた。
……大丈夫。
見た目で判断したらダメ。
あの人たちとは、きっと違うから。
大丈夫、大丈夫……。
額に浮かんだ汗を拭ってふっと息を吐いた。
それから一日、転校生に群がる物珍しそうなクラスメイトたち。
囲まれる彼女をじっと観察していて気付いたことがある。
奇抜な格好をしているにも関わらず、媚びる様子が見えないこと。
話しかけられても答えないか、口数は少なく曖昧。
無表情を貫いていた。
自分に自信のある加奈や美奈江と違って、その姿は……
自分の魅力を最大限引き出すことに興味がないように見えた。
「琉羽は行かないの…?」
横の席に座る琉羽の顔を覗き込む。
「え?僕?んー…確かに美人だけどー…」