「細かいことは気にするな。6月に一緒に焼肉行った仲だろーが」


「いつの話ししてんすかー?」


「先生のいい思い出話だ。心に留めとけよ。
それより久遠、入って来たんならさっさと席つけ。先生と同時に教室入るなんて言語道断だぞ」


後ろのドアに目を向けると、寝癖をほったらかしに寝ぼけ眼の空がいた。


まだ眠そう…。


私の後ろの席に座った空は、そのまま机に突っ伏してまた寝始めた。



「今日は転校生がいる。お前ら良かったなあ、女子だぞ。
おーい入ってこい」


前のドアに視線が集まる。


ガラリと開けられて、入ってきたのは、派手目な女の子。



「うお!本当に女だぞ!」


「花が咲くー!神様、欲求不満の可哀想な俺たちに幸せをありがとう!!」


騒ぐA組男子たちの声が耳をすり抜けて、心臓が跳ねた。