「こら琉羽。離れてあげようか」
「えぇ〜、なんでぇ?」
「なんでじゃない。天音ちゃんを困らせない」
頭上で、宥める聖と不思議そうな男の子のやり取りが聞こえる。
断念したのは抱きついてきた男の子のほうだった。
「ちぇー。ちょっとくらい良いじゃんか、聖の堅物っ」
「僕はいいから、天音ちゃんに謝る」
「はぁーい。いきなりごめんねぇ?」
名残惜しそうに解放される。
締め付けがなくなって、ようやくまともに息がつけた気がした。
離れていった男の子を見ると、それは可愛らしい顔立ちをしていた。
色素の薄い栗色の髪。
大きな瞳とくっきりとした二重が可愛さを強調している。
ここにいるから私と年も変わらないくらいだろうとは思うけど。