「あのお菓子ね、限定ものでね、手に入れるのすっごぉーく大変だったんだよ!?ねっ?ねっ?みっつー許せないでしょ!?」
「ははは……光邦が盗み食いする悪癖は今に始まったことじゃないからね…」
対応に追われる可哀想な役柄。
困った表情からは「一体自分にどうしろと」という、聖の苦渋が滲み出ていた。
確かに、失くなったものはどうしようもないし、どうしてもそれが食べたいなら買ってくる他ない。
こうなることが常なら、お菓子を隠しておけば万事解決。
聖も同じことを思ったに違いない。
「ここは琉羽が少し大人になれば収まるよ。光邦も悪意があったわけじゃないだろうし、この場は水に流して、また買ってこよう」
……必死だ。
場を収めるために必死に下手に出ている。
流石、尊敬する。
それでもその男の子は受け入れない。