「それにしても、嬉しいものだね」
「…?」
不意にかけられた言葉の意味が分からなくて、首を傾げた。
「ああ、いや。この寮は男5人しかいなかったから、こんなに可愛らしい女の子が来てくれて、一気に華やかになるなと思って」
「……はあ」
喜ぶべきところなんだろうと何となく理解はしたけど、よく分からない。
微妙な気持ちになって曖昧な返事しかできなかった。
純粋に思ってくれているんだろう、邪気のない笑顔がキラキラ眩しくて、視線がキョロキョロして定まらない。
一方的に気まずさを感じ始めた頃。
「うわぁあああんっ…!!」
子供のような泣き声が遠くから聞こえて、ビクリ。
しかもその声が徐々に大きくなっていて……
あれ、なんだかこっちに向かってるような…?