「ふは、天音。口の横、クリーム付いとるで」


「ん、どこ?」



指摘されて拭おうと試みるけど、なかなか上手くいかない。


見えないから、探しづらい……。


「そこやない、もうちょい上……ああ、もうじれったい」



言いながら、向かいに座る光邦が身を乗り出して、口の横を親指でぐいっと拭い取られる。



「取れたで。ん、あっま」


おまけにそのまま自身の口に運んでぺろりと舐めたから大変。


流石の私も意識してしまう。



「ん?顔赤いで天音。どないしたん?」


のぼせてしまった。


その上、あからさまに目線を逸らしたものだから当然、光邦が気付かないわけはなく。


視界の端でにんまり笑う様が確認できた。



「なんや、やっぱり照れとるやん」


「…….照れてない」


「ははは!嘘つきやな」