「僕は3年の観下聖です。よろしくね」
満面の笑み。
差し出された手。
あ、握手……?
……どうしたら、いいんだろう。
「……柳瀬天音、です…」
結局、小さく頭を下げて自己紹介。
すると一変、戸惑ったような表情で手を振られた。
「あまり畏まらないでほしいな。上下関係って嫌なんだ。僕のことは普通に呼んでくれていいから。もちろん、敬称は無しで」
「……聖?」
「うん、そう」
求めに応じなかった私に嫌な顔ひとつしない。
お、大人だ…。
少年というには成熟した振る舞い。
青年と呼ぶにはまだ年若く見える。
どう接したらいいんだろう…。
上下関係は嫌だって言ってたけど、聖との関係はなるべく明確なものにしたい。
きっと私は、この人に頭が上がらなくなるから。
これは、重要な問題。