「天音、なんや今日は格別可愛いな」
「……光邦も、いつもと違うね」
光邦の口説き文句はいつものことなのに、何だか少し恥ずかしい。
服装のせい、かもしれない。
「光邦も、かっこいい」
ちらりと光邦の出方を窺ってみると、光邦は余裕の表情で笑った。
「そりゃ、天音と2人きりで出かけるからに決まっとるやろ」
「……そう、なんだ…」
恥ずかしげもなくさらりと言われて、顔を俯ける。
なんだろう。
私の方が、すごく……恥ずかしい。
光邦が2人きりなんて言うからだ。
昨日言われた、デートという単語が頭の中でぐるぐる回る。
「なんや天音。照れとんの?」
「っ…ち、がうもん……っ」
慌てて弁解するけど、光邦は可笑しそうに笑うばかりだった。