「なあなあ、天音」
「ん?」
「今日のデート楽しみにしててや」
「…?うん」
頬杖をついてニカっと笑う光邦は、深みがあるように言った。
私はというと、光邦歯がキレイだなとか、そんなことを考えていた。
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服装チェック。
髪型よし。変なところ……ない。
とはいえ、鏡に映るのは普段通りの自分の姿。
後ろで一つ括りに束ねた髪、白と黒のストライプのインナー、ブラウンのサロペットにスニーカー。
うん、いつも通りだ。
光邦の言うデートにこの格好はありなんだろうか。
うーん、と悩みつつも、時間がないからと部屋を後にする。
待ち合わせ場所の玄関ホールに着くと、光邦は既にそこにいた。
「ごめん、遅れた…?」
「や、むしろ早かったで。俺が早く着きすぎたぢけやから気にすんなや」
なぜか小声で喋る光邦に、首を傾げる。
何かあるのかな…。