「なあなあ、天音」


「ん?」


「今日のデート楽しみにしててや」


「…?うん」



頬杖をついてニカっと笑う光邦は、深みがあるように言った。


私はというと、光邦歯がキレイだなとか、そんなことを考えていた。



**



服装チェック。


髪型よし。変なところ……ない。


とはいえ、鏡に映るのは普段通りの自分の姿。


後ろで一つ括りに束ねた髪、白と黒のストライプのインナー、ブラウンのサロペットにスニーカー。


うん、いつも通りだ。


光邦の言うデートにこの格好はありなんだろうか。


うーん、と悩みつつも、時間がないからと部屋を後にする。



待ち合わせ場所の玄関ホールに着くと、光邦は既にそこにいた。


「ごめん、遅れた…?」


「や、むしろ早かったで。俺が早く着きすぎたぢけやから気にすんなや」

なぜか小声で喋る光邦に、首を傾げる。


何かあるのかな…。