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私の不安に反して、光邦は頑張った。


朝起きてきた私がリビングに入って見たものは、テーブルに突っ伏して眠る光邦の姿だった。



そうっと近付いてみるも、起きる気配はない。


テーブルの上に乱雑に散らばっている教材を確認すると、全ページ書き込みで真っ黒だった。


多少の字の汚さには目をつぶるとして……



光邦、よくできました。


触れたら起きてしまうかもしれないとは思いつつも、えらいえらいと頭を撫でてやる。


頑張った、光邦。



私自身はそんなに大きなものじゃなくて、むしろちっぽけだと思えるほどだけど。


私の存在が光邦のどこに刺さったのか分からないけど、それでも。



少しでもやる気に繋がったなら良かったって思った。



……のに。



「ぐへへへへ…」


なんとも気色の悪い声。


今にも舌なめずりをしてきそうなその声の主は、今しがた私が絶賛してた相手。