目の前の人を見る。



ふわり、揺れるダークブラウンの髪。


くりっとした丸い目が特徴的。


シャープな顔立ちが涼しげな雰囲気を生んで、落ち着いた大人な印象を与えた。



私を見て驚きを露わにしていた彼だったけど。


すぐさま柔和な笑みに切り替わった。



「ああ、君が今日入寮してくるっていう女の子だね。話は聞いているよ」


「え、あ……はい…」


好意的に接せられて、躊躇いがちに頷いた。



疑念を抱くより前に理解した彼は、初対面の相手に対してまるで警戒心がない。


あらかじめ話には聞いていたんだろうなという事は分かるけど。



普通はもう少し戸惑うとか……


……え、あれ、私だけ…?



むしろ先に、こうなることを想定できた私の方が挙動不審になってしまった。