お互いに何か言うわけでもなく。


お父さんは黙々と作業を、私は時間を持て余すように突っ立っていた。


ふと、お父さんが振り向いた。



「今の学校は楽しいか?」


ちょっと驚いて、目を瞬かせる。


急に父親らしいことを言われて、戸惑ったけど、今ならはっきり言える。


「……ん、楽しい」


こくり、頷いてすぐに顔を逸らした。


こういうこと、昴にはちゃんと伝えられたけど、普通は家族に言うのって恥ずかしいんだな。



「みんな、心配してくれて…」


「ああ」


「いっぱい、いっぱい支えてくれて…」


「ああ」


「すごく変わってて、騒がしい人たちだけど……すごく、すごく優しくて……とにかく、いい人たちなの」


何て伝えればいいのか一瞬迷ったけど、言いたいことが自然と口から出てくる。


それが不思議でしょうがなかったけど、正真正銘、私の本心だ。