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その夜、別荘のテラスでバーベキューをしていた。


肉の焼ける音と香ばしい匂いに、いつもならテンションマックスの私だけど。



「……」


「……」



無言で対峙する相手を前に、今はただただその顔を見返すばかりで。


あたりに漂う微妙な雰囲気に、誰もが口を閉ざしていた。



ちなみに、聖とお母さんは追加の野菜を切りに行っている。


他は全員出揃っているわけだけど、空気は重たい。



「なーんか空気悪ないか?」


「……言うな」


いい加減痺れを切らした光邦が、楓斗に耳打ちした。


声を落としてるんだろうけど、ばっちり聞こえてる。



「え、と……久しぶり…」


「……ああ」


「……えー、と……おかえり、なさい…?」


「……ああ」


さっきから頑張って話しかけてはいるけど、どうしよう。


会話らしい会話が成立しない。