ふと、いつも側にいるはずの空がいないときょろりと見回す。
空もまた、みんなの輪の中には参加せずに離れたところにいた。
ただ、その表情はどこか浮かない。
「空?どうしたの…?」
みんなが中に入っていく中、一人だけ廊下にぽつんと突っ立ったままだった空に駆け寄ると、ぴくりと肩が震えて私から一歩距離をとる。
まるで私が触れるのを怖がっているみたい。
それが分かったから、それ以上私からは近付かずに、またそっと声をかける。
「空…?」
「……天音、ごめん」
ようやく反応を示してくれたと思ったら、出てきたのは謝罪の言葉。
この短時間に何があったんだろう。
謝られるようなこと、された記憶がない。
みんなが呼びに来ないのを確認して、問いかける。
「なんで、謝るの?」
空の顔が、くしゃりと泣きそうに歪んだ。