「……できれば手を加えてないのがいい」


グチャグチャに盛られた、食べかけの焼きそばを押し戻す。


見た目最悪で、はっきり言ってお腹壊しそう。



「そう?」


不思議そうに首を傾げた姉さんは、後ろに置いてある袋から食べ物を漁り始めた。



……助かった。


食べなくて済んだことに心の底からほっとして、女性の密集率が高いあの場所に視線を向ける。



さっき喜んで飛んでいった夏目さん。


あの人が加わって、更にややこしいことになっているらしい。


理由は単純。


取り巻きに留まらず、道行く女性にも片っ端から声をかけているからだ。



あの人が良い顔をしまくっているせいで、収拾がつかなくなっている。


この炎天下に晒されてよくやるな…。



あの人を除く他の人たちには同情するけど、俺には関係ない。