空は、いい子だから。


……許す。



分かりやすく機嫌が良くなった私は、後ろに置かれた袋からたこ焼きのパックを出して渡す。



大きく口を開けて一個まるごと頬張る空から目を離して、周りを見回してみる。


他のみんなは、どこだろう。


そんな私の思考を読み取った光邦が、いじけた顔で海のほうを指差した。


まだバリケードを張ったことを引きずってる。



「聖たちならあっちや」


見れば、砂浜に妙な人だかりが出来ていた。


人だかりの中心には、女性に囲まれる哀れな3人の姿が伺えた。



……あ、楓斗、怒ってる…。



不機嫌そうな楓斗の姿を真っ先に見つけて、どうしようかと思案する。


他の二人も例外じゃない。



琉羽は、輝かんばかりの笑顔の裏に黒いオーラが感じられるし。


聖に至っては、困ったように笑いながら時折、助けを求めるように視線を彷徨わせている。