普段の自分では想像できない表情を浮かべているのかもしれない。


でも、だって……嬉しい。


こんな素直な言葉を、それもデレた昴から聞けるなんて…。



どうしよう。え、どうしたら?


嬉しい、どうしよう、幸せ。



キョロキョロ、あわあわ、落ち着かない。


そんな挙動不審な私を止めたのは……



「天音。一緒に泳がへんか?」



背後から回された腕と、すっかり馴染み深い関西弁。


あと、首元をくすぐる奇抜な金髪。



「……」


興奮で上がった熱がこの瞬間、一気に冷めた。



思わずというか、不可抗力というか、これはもう致し方ないというか。


私は思ってしまった。



光邦、今すごく邪魔。


「暑い…」



ため息を吐きながら言って、光邦を押しのけようともがく。


気持ち悪いって言葉は……飲み込んだ。