琉羽に敵視されたことを、会ってから数時間もの間気にするくらい昴は繊細だ。


それをよく分かっている私は、昴をフォローする。



「琉羽、今日はおかしいみたい。いつもはもっといい子…だよ?」


……多分、と心の中で付け加える。



でも少なくとも悪い人じゃない。


あっけらかんとする私に、昴はそれはそれは長いため息を返してくれた。



「姉さんは無自覚で人の気を引くのが上手いんだよ」


「…?何のこと?」


「……なんでもない」


意味が分からなくて聞き返すけど、昴はぷいっと顔を背けてしまった。



どうやら、私が理解できない琉羽の態度の理由が昴には分かっているらしい。


聞かないほうがいいのかな…。


聞いてもまた逸らされる気がする。


そう判断して視線を外すと、「でも…」と昴は言葉を続けた。