自分が蒔いた不和の種にも関わらず、叔母さんが聞いたらブチギレ問題だろう事を考えられるくらいには潔くなれた。


さて、どう逃げよう…。



「はい、あんたの」



さりげなく周囲を伺う私に投げられた、光るもの。


完全に思考が切り離されていた最中、一瞬遅れて取りにいく。



手のひらに収まった、銀色に光る鍵。


S-205と刻まれたプレートがぶら下がっている。



「これ…」


「あんたの部屋の鍵」



ぶっきらぼうに言った叔母さんは、黙り込んでしまってそれ以上の話をしてくれない。



……ええっと……


これは……まだ怒ってるってこと…?



こっちから口を開かないと説明してくれそうにない。


仕方なく、少しの間を置いて聞いてみた。



「このSって?」


「特別寮よ」


「……特別寮?」


「そ。あんたSクラスだから」