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「ついた…」



見上げるほどに大きな扉の前で立ち尽くす。


さっきも似たようなことがあったな、と妙な既視感を感じた。


既に扉から豪華な装飾が施されたそこで、理事長室と掲げられた木板を一瞥。



扉をノックすると、思いの外広い廊下に響いた。



「失礼します」


中に入ると、予想以上の絢爛さが広がっていた。



この学校、どこも建設費が相当なんだろうと思っていたけど、理事長室はまた更にお金がかかってる感じがする。


吊るされたシャンデリアに目がチカチカした。



「あら、遅かったわね」


「……迷ってた」


「…ぷっ、あっははは!!」



窓辺に生けられた真っ赤な薔薇に目を向けながら答えると、盛大な笑い声が部屋に響いた。


ようやく視線を向ければ、高そうな白いソファーに座っている女性がいた。