……残念。 お喋り、したかった。 「もう行く。今度いっぱい話そっ」 本来の目的を忘れかけていた私は、渋々と立ち上がる。 名残惜しいけど…… 「えと、またね」 「…ん」 コクリと頷いて手を振る彼に見送られて、その場を後にした。 歩きながら、ふと思い出す。 名前、聞き忘れた。 ……まあ、いいや。 また会えるだろうと思い直して、理事長室を目指した。