「もー…天音って聖みたーい」


「…何が?」


「聖は天音に甘いけど、天音はくーにすっごく甘いんだもん。てゆーか優しい!」


私が、空に…優しい……?


意図して接していたわけじゃないから、なかなかピンとこない。



「そんなこと、ないよ?」


「いやいや絶対あるよー!」



むぅ、と怒ったように頬を膨らませる琉羽に、私はただただ首を捻るばかりだった。




そうして食べ進めていると、伸びてきた不躾な手。


瞬時にお弁当を死守した私に、不満そうにするのは手癖がすこぶる悪い光邦だった。


流石、校内の窓ガラス割り常習犯。


油断も隙もない…。



「あまねぇー、そないケチケチしなや。空にもやっとるし、ええやろ一個くらい」


「空はいい。光邦はダメ、あげない」


「俺と空にどないな差があるん!?」



ショックを受ける光邦に背を向けると、またもや狙いの手が伸びてきた。