物珍しそうな視線をじっと向けると、何かを勘違いしたのか気まずそうな顔で楓斗は顔を逸らす。



「聖に頼まれたからな」


「……そう、なんだ…」


なんだ、やっぱり楓斗の意思じゃないのか。



何だかんだ聖の言うことはまともだから、文句は言いながらも否定はしない楓斗。


仕方なく、だったんだな…。



胸がチクリと痛む。


少しだけ、残念に思ったのはどうしてだろう。



「そ、それに…」


「…?」


「お前またどっかで寝てそうだし。起こす奴がいないと絶対寝過ごすだろ。
お前、空と同じで食い意地だけは張ってるから、機嫌損ねると面倒くさいんだよ」


「…!楓斗…」



思わぬ言葉に面食らう。


口ごもりながらも早口で言った楓斗の頬は、どことなしか赤い。


よく分からないけど、楓斗がデレた。