ちょうど競技が終わって、そろそろ戻ろうかと思案していると。


「無駄で悪かったな」


少し不機嫌そうな声に、後ろを振り向く。


「……声、出してた?」


「思いっきりな」



入口のあたりに寄りかかって腕を組んでる楓斗。


何しに来たんだろう。


……もしかして、楓斗もサボり…?



そんな考えを予想していたように、楓斗はため息をついて応じてくれた。



「昼メシだから呼びに来たんだよ」


「……」


「なんだよ」


「…わざわざ…?」


「…は?お前の教室はここだろ」


私の問いかけに楓斗は不思議そうな顔をしてたけど、実はそんなに不思議じゃないと思う。



だって、こんな人が出払った校舎より、外にいると思う方が自然だ。


それなのに、こんな場所まで探しに来るなんて。


気にかけてくれていたのかと、自惚れてしまう。