あっという間に1位で走り切って、遠目からも分かる笑顔を振りまく琉羽。


……に、巻き起こる黄色い声の嵐。



「きゃあああー!琉羽くんステキー!」


「こっち向いてぇ〜!!」



その瞬間、私は理解した。



ああ、そっか。


明らかに周りの反応が違うから、すぐに琉羽だと気付けたんだ。


芸能人と言っても引けを取らないSクラスの彼らで、私はそれを知っていたからその姿を自然と探していたのだ。



中身はともかく、顔だけは良いと私でも理解できる。


世間の女子にしたら最高に応援したくなるんだろうな…。



何気なく隣に目を向ける。


「……え、と……空。あの、大丈夫?」


「ん、大丈夫」


変わらず飄々としてるけど、どことなく不機嫌そう。


うるさいのが嫌なんだろうな…。