私も話すの得意じゃないし、お喋りとか柄じゃないことしたけど。
少しだけでも付き合ってくれてもいいのに…。
いや、でも空はこういう人だから仕方ない…?
なんだか悔しくて、もう少し反応が欲しいとじっと見てみる。
動じない空は、私の意図がさっぱり読み取れないらしい。
分からないと言うように、こてりと首を傾げてきた。
「…なに…?」
「…っ何でもない」
……か、可愛い…。
何がかは分からないけど、可愛い。
琉羽とか昴とはまったく別の可愛さに、胸がキュンとした。
なんとなく気まずくなって、ふいっと目を逸らす。
グラウンドに、リレーで走る琉羽の姿を見つけた。
そこまでものの数秒。
遠いし、特別目を惹くわけでもないのに、なんですぐ琉羽だって分かったんだろう…。
うーん、と考えつつ上から後を追っていると。
……あ、ゴールした。