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『さあ始まりました!東明学園、本日は高等部の体育祭となります!今日もいつも以上の無駄なやる気と根性で、元気に参りましょう!!
第一競技は全員参加の綱引きです。ちなみに強制なので逃げたら吊し上げますから頑張ってください!
さて、生徒の皆さんは入場門にお集まりを……』
スピーカーを通して聞こえる、大きな声。
「あははっ、僕この実況好きだなぁ~」
ケタケタ笑う琉羽の隣で縮こまる。
まさに今、逃亡を画策中だった私は実況を聞いて、即座に方向転換した。
めんどくさい…。
そんなことを再三思いつつ、後の面倒に比べたらいくらかマシだと集まりに加わった。
綱引きでは結局Aクラスは負けてみんなは悔しがっていたけど、私は手の砂を払いながら、ため息を吐くばかりだった。
とりあえず……うん、アイス食べたい。
終わったら絶対、コンビニまで走りに行くんだ。
それだけを糧に今日を乗り切ることを心に決めた。