「琉羽、ありがとう」
「いいえ〜、みっつーに捕まったら長いからねぇ」
助かった、と琉羽に感謝した矢先。
私はそれを撤回した。
「あ!ねね、天音、天音!」
「……なに」
思い出したようにあげられた、騒音と見紛うほどの大声にまたも眉を寄せる結果になった。
ただでさえ体力精神力がごっそり削られているのに。
そんな時にこの威力。
二人揃ってなくて良かった、とさっき見送ったもう片方を頭に浮かべて息をついた。
「今日はポニーテールだね!」
「……え、うん」
「もぉ、テンションひくーい!体育祭はこれからだよ。ね!」
そうは言われても、反応しようがない言葉を投げかけられては、ただでさえ口が上手くない私には対応しようもない。
やる気ないって叔母さんに怒られるのは……
やっぱりヤダ、うん。