風が収まったところで目を開けると、どこかから飛んできた葉っぱが男の子の髪に引っかかっていた。
別に、何か考えていたわけじゃない。
意識してたわけじゃないけど、ごく自然に手が伸びる。
カサリ、触れた時。
「……っ!?」
手を掴まれて、グイっと強い力で引っ張られた。
突然の出来事に対処が追いつかなくて、前のめりにドサッと倒れこむ。
声を出す間もなかった。
下には体温を感じる何か。
それが何なのか、すぐに理解して離れようとした。
けど、手を掴まれて起き上がることができない。
「だれ」
落ち着き払ったテノールがすぐ近くで聴こえて、目の前の相手が覚醒していることを知らせる。
まだ寝ぼけているのか、瞳は虚ろでその顔はぼんやりとしている。