車椅子生活は楽しくなかった。
彼はいろいろとサポートしてくれる。
素直に嬉しかった。
ただ、都会では味わえない、シロツメクサ一面
そんな草原や自然を彼と巡るのが、私にとって
一番好きだった。
季節を越えて、草木が結晶の下に眠るころ。
私と彼には微妙な溝が出来かけていた。
「あなたになんか!私の気持ちわかるわけないっ!」
献身的な彼に対しての私のレスポンスはいつも、
ビードロガラスで見たように、言葉も歪んでいた。
「じゃ、少し行ってくるよ」
彼は仕事の都合で、一週間ばかりの出張。
特別に珍しくはなかった事。
ただ、意外と脆くなってる心をそれは認め。
ヒビが入った心からにじみ出るように溢れる
気持ちが、逆に突き刺さり痛い。
慟哭した。