優香里が亡くなって何年か経過して優馬と翼はキャッチボールをしていた。

「優馬、学校楽しいか?」

「うん、楽しいよ。」

「好きな女の子出来たか?」

「うん。」

「どんな子だ?」

「うーん、お母さんみたいな子かな。」

「優馬は、お母さん好きか?」

「好きだよ。優しいし、でも怒ると恐いけど…。」

「そっか、それを愛っていうんだよ。」

「愛?」

「うん、愛だよ。愛。」

「こら!優馬宿題やったの?」

舞が、優馬を呼びに来た。

「これからやるよ。うるさいな。」

「うるさいは余計でしょう!」

「はーい。」

優馬は、グローブを翼に渡して家の中に入って行った。

「すっかり母親してるね。舞は。」

「あなたも厳しくする時はしてください。」

「俺には出来ないよ。」

「全く甘いんだから。」

「でも、優馬も大きくなったしそろそろ本当の事を伝えるべきかな?」

「そうね、考えておく。」


週末に優馬に話す事にした。

保管してあったいくつものDVDを優馬に見せた。

「これが僕の本当のお母さんなの?」

「そうよ。お母さん美人さんでしょう?」

「うん。でもお母さんが2人もいるなんて僕は幸せだよね。」

その答えに舞は泣いていた。
不安だった気持ちが優馬の明るい一声で変わった。

「会いたい?お母さんに。」

「会いたい!」

「じゃあ、明日お墓参りに行こう。」

次の日、お墓参りしに、3人で行った。

優馬は、手を合わせて何かを必死に伝えようとしていた。


翼も祈った。安らかにと。