そして私はこうちゃんたちの介護施設にお邪魔した。
施設の三階に、三階と四階の入居者さんたちが集まって、その後ろにちらほらご家族の方も来られている。
こうちゃん「今日は、バンドの演奏会に集まっていただき、ありがとうございます。今日は、俺が歌うんじゃなく、俺の高校生時代の友達の光という子に歌ってもらいます。皆さん宜しくお願いします。」
光「ひかりと申します!では!スタート!」
会いに行くわ汽車に乗ってー♪いくつもの朝を花の咲く頃に♪
ジュディマリのKYOTO。確かにお年寄りは知らない曲だろうに、バンドに慣れているようで笑顔で手を叩いてくださっている。認知症の方も笑って見てくださっている。胃瘻の方もいらっしゃる。他の介護職員が水分補給を勧めたりタンバリンをしてくれたりと忙しそう。これが介護施設なんだな。。。
光「実は今日、会いに来てくれた方がいます。コウスケ主任の奥様のひかるさんです!」
こうちゃん「え?うそ?」
客席の一番後ろで、家族さんに紛れて、奥様のひかるさんがいた。後ろに子どもさんが隠れていた。
これが今日の作戦。あこちゃんがひかるさんに連絡を取り、施設にライブを見に来て欲しい、と頼んだのだ。
光「皆様はひかるさんをご存知ですよね?どうぞ、ひかるさん、ステージへ!」
こうちゃん「聞いてないー!」
ひかる「おひさしぶりです。コウスケ、施設の皆さん。私は元気にしています。娘の春華も三歳になりました。春華もこっち来なさい。」
春華ちゃんはもじもじひかるさんの後ろに隠れていたが、こうちゃんが涙ぐみながらギターを置いて手を広げると、一気にこうちゃんの腕の中に飛び込んでいった。
お年寄りは拍手喝采。認知症のない入居者さんなどは、こうちゃんから半年ほどひかるさんが春華ちゃんを連れて出て行ってることを聞いているらしい。
光「家族っていいものですよね。それでは、奥様と一緒にもう一曲、チーズピザという曲を歌わせていただきます。」
ひかる「私も歌うんですかー?」
あきらくん&あこちゃん「元々ボーカルやん!」
二人でいよう♪離れてしまわぬように♪悲しいことがあっても乗り越えてゆける♪
塞いだ耳に遠く響く♪忘れないで僕がいつも側にいる♪
奥様のひかるさんは私なんかよりよっぽどYUKIっぽかった。
春華ちゃんもステージでかわいいダンスをしてギターのこうちゃんを嬉しそうに見ていた。
入居者Aさん「あんた、子ども大事にせなあかんで。」
入居者Bさん「ひかるちゃんになんか言い!」
入居者Cさん「私も死んだ旦那のこと、ずっと好きやわ。夫婦っていろいろあるけど、他人同士やから大変やけど、愛し合って結婚したんやから頑張って仲良くやっていき!」
色んな声が飛び、ついにこうちゃんは私のマイクを取ってこう叫んだ。
「ひかる、俺が悪かった!帰ってきてくれ!ひかると春華と一緒に生きていきたい!」
そしてひかるさんは泣きながらうなづき、ハッピーエンド!!
と思ったら。香山副施設長がなぜかドラムスティックをクルクル回しながら前へ出て来た。
香山副施設長「と、もう一人、今日は外部からお客さんを呼んでいます。この光ちゃんの旦那さん、一哉さんです。どうぞ、一哉さん!」
光「一哉?はー?」
香山副施設長がドラムスティックで柱を指すと、柱の陰から本当に旦那の一哉が出て来た。
香山副施設長「光ちゃんにボーカルボランティアお願いしたとき、書類に旦那の一哉さんの携帯番号も書いてもらったでしょ。悪用悪用!」
一哉は全然動じもせず、スタスタとステージに来てマイクを握った。
一哉「初めまして皆さん。今日は素敵なバンドを見させていただきありがとうございます。嫁の光がお世話になりました。コウスケさん、お互い良い家庭を築いていきましょう。光、今まで不妊治療協力的じゃなくてごめん。正直しんどくって。でも、昨日の夜、香山さんに色々聞いて俺も光とこれからも一緒にいたいって言いたくて来た。」
私&あきらくん&あこちゃん「これは聞いてないー!」
こうちゃん「俺も知らんかったけど、ええやん。俺も誓ったことやし、光も言うとけ!」
入居者Aさん「あんたもせっかく来たんやから愛誓っていき!」
入居者Bさん「私も子どもおらへんかったけど幸せな結婚生活やったでー。」
私にまで声援が飛ぶ。
私「一哉、私も不満持っててごめんね。あなたと2人で生きていきたい!」
一哉がうなづき、こちらもハッピーエンド!!
香山副施設長がしてやったりの顔をしてこう締めた。
香山副施設長「では、あこちゃん。見上げてごらん夜の星を、弾いてくださいな。皆さんで歌いましょう。」
みあーげてーごらんー♪よるのーほーしをー♪
香山副施設長が真ん中のマイクで歌って、最高のハッピーエンド!!!
そしてライブ後。
私たち夫婦は皆に見送られて施設から帰ってきた。
あきらくん「いやー良かったっす。光さんまたバンドしましょう!」
あこちゃん「光ちゃんに会えて良かった。夫婦仲良くね。」
香山副施設長「人生山あり谷あり、忘れずにね。また遊びにおいで。」
入居者さんたち「子ども授かるといいね!でも、できへんかっても、2人で仲良く暮らしていきー。もし赤ちゃんできたら見せにおいで。」
ひかるさん「今日はありがとうございました。光さんのおかげで仲直りできました。」
そして、こうちゃん。私にこそっと耳打ちした。
「光、お互い良かったな。あの。。。酔って再婚しよとか言うたの、無しなw同窓会で再会できて良かった!また会おう!家族ぐるみの付き合いとかもええやん。」
私とこうちゃんは握手した。そして、その手でそのまま一哉と手を繋いで。
私は、2人で、生きていく
施設の三階に、三階と四階の入居者さんたちが集まって、その後ろにちらほらご家族の方も来られている。
こうちゃん「今日は、バンドの演奏会に集まっていただき、ありがとうございます。今日は、俺が歌うんじゃなく、俺の高校生時代の友達の光という子に歌ってもらいます。皆さん宜しくお願いします。」
光「ひかりと申します!では!スタート!」
会いに行くわ汽車に乗ってー♪いくつもの朝を花の咲く頃に♪
ジュディマリのKYOTO。確かにお年寄りは知らない曲だろうに、バンドに慣れているようで笑顔で手を叩いてくださっている。認知症の方も笑って見てくださっている。胃瘻の方もいらっしゃる。他の介護職員が水分補給を勧めたりタンバリンをしてくれたりと忙しそう。これが介護施設なんだな。。。
光「実は今日、会いに来てくれた方がいます。コウスケ主任の奥様のひかるさんです!」
こうちゃん「え?うそ?」
客席の一番後ろで、家族さんに紛れて、奥様のひかるさんがいた。後ろに子どもさんが隠れていた。
これが今日の作戦。あこちゃんがひかるさんに連絡を取り、施設にライブを見に来て欲しい、と頼んだのだ。
光「皆様はひかるさんをご存知ですよね?どうぞ、ひかるさん、ステージへ!」
こうちゃん「聞いてないー!」
ひかる「おひさしぶりです。コウスケ、施設の皆さん。私は元気にしています。娘の春華も三歳になりました。春華もこっち来なさい。」
春華ちゃんはもじもじひかるさんの後ろに隠れていたが、こうちゃんが涙ぐみながらギターを置いて手を広げると、一気にこうちゃんの腕の中に飛び込んでいった。
お年寄りは拍手喝采。認知症のない入居者さんなどは、こうちゃんから半年ほどひかるさんが春華ちゃんを連れて出て行ってることを聞いているらしい。
光「家族っていいものですよね。それでは、奥様と一緒にもう一曲、チーズピザという曲を歌わせていただきます。」
ひかる「私も歌うんですかー?」
あきらくん&あこちゃん「元々ボーカルやん!」
二人でいよう♪離れてしまわぬように♪悲しいことがあっても乗り越えてゆける♪
塞いだ耳に遠く響く♪忘れないで僕がいつも側にいる♪
奥様のひかるさんは私なんかよりよっぽどYUKIっぽかった。
春華ちゃんもステージでかわいいダンスをしてギターのこうちゃんを嬉しそうに見ていた。
入居者Aさん「あんた、子ども大事にせなあかんで。」
入居者Bさん「ひかるちゃんになんか言い!」
入居者Cさん「私も死んだ旦那のこと、ずっと好きやわ。夫婦っていろいろあるけど、他人同士やから大変やけど、愛し合って結婚したんやから頑張って仲良くやっていき!」
色んな声が飛び、ついにこうちゃんは私のマイクを取ってこう叫んだ。
「ひかる、俺が悪かった!帰ってきてくれ!ひかると春華と一緒に生きていきたい!」
そしてひかるさんは泣きながらうなづき、ハッピーエンド!!
と思ったら。香山副施設長がなぜかドラムスティックをクルクル回しながら前へ出て来た。
香山副施設長「と、もう一人、今日は外部からお客さんを呼んでいます。この光ちゃんの旦那さん、一哉さんです。どうぞ、一哉さん!」
光「一哉?はー?」
香山副施設長がドラムスティックで柱を指すと、柱の陰から本当に旦那の一哉が出て来た。
香山副施設長「光ちゃんにボーカルボランティアお願いしたとき、書類に旦那の一哉さんの携帯番号も書いてもらったでしょ。悪用悪用!」
一哉は全然動じもせず、スタスタとステージに来てマイクを握った。
一哉「初めまして皆さん。今日は素敵なバンドを見させていただきありがとうございます。嫁の光がお世話になりました。コウスケさん、お互い良い家庭を築いていきましょう。光、今まで不妊治療協力的じゃなくてごめん。正直しんどくって。でも、昨日の夜、香山さんに色々聞いて俺も光とこれからも一緒にいたいって言いたくて来た。」
私&あきらくん&あこちゃん「これは聞いてないー!」
こうちゃん「俺も知らんかったけど、ええやん。俺も誓ったことやし、光も言うとけ!」
入居者Aさん「あんたもせっかく来たんやから愛誓っていき!」
入居者Bさん「私も子どもおらへんかったけど幸せな結婚生活やったでー。」
私にまで声援が飛ぶ。
私「一哉、私も不満持っててごめんね。あなたと2人で生きていきたい!」
一哉がうなづき、こちらもハッピーエンド!!
香山副施設長がしてやったりの顔をしてこう締めた。
香山副施設長「では、あこちゃん。見上げてごらん夜の星を、弾いてくださいな。皆さんで歌いましょう。」
みあーげてーごらんー♪よるのーほーしをー♪
香山副施設長が真ん中のマイクで歌って、最高のハッピーエンド!!!
そしてライブ後。
私たち夫婦は皆に見送られて施設から帰ってきた。
あきらくん「いやー良かったっす。光さんまたバンドしましょう!」
あこちゃん「光ちゃんに会えて良かった。夫婦仲良くね。」
香山副施設長「人生山あり谷あり、忘れずにね。また遊びにおいで。」
入居者さんたち「子ども授かるといいね!でも、できへんかっても、2人で仲良く暮らしていきー。もし赤ちゃんできたら見せにおいで。」
ひかるさん「今日はありがとうございました。光さんのおかげで仲直りできました。」
そして、こうちゃん。私にこそっと耳打ちした。
「光、お互い良かったな。あの。。。酔って再婚しよとか言うたの、無しなw同窓会で再会できて良かった!また会おう!家族ぐるみの付き合いとかもええやん。」
私とこうちゃんは握手した。そして、その手でそのまま一哉と手を繋いで。
私は、2人で、生きていく