私、真島光(まじまひかり)35歳。
旦那の一哉とは結婚して6年。
どうやらお互い不妊体質で子どもはいない。
試食販売員のアルバイトしながら不妊治療に通ってるとこ。
そんなある日、同窓会のお誘いがやってきてー。
ピロン
「あ、LINEやー。うえちゃん?めっちゃ珍しいなー。この度高校の同窓会を開くことになりましたやって。是非ご参加くださいって。」
私は一哉に話しかけながらLINEを確認する。
「ふーん。いってらっしゃいー。」
一哉はテレビのニュースに夢中で興味なさそう。
「んじゃ、同窓会行くわ。それはそうとして、今日か明日、仲良ししてきなさいって言われたんやけど。。。どうする?」
私は携帯をいじりながらも一哉を伺う。
「あー。。。んじゃ明日Hしよかー。」
「んじゃよろしくねー。」
明日しようと言う一哉はしんどそう。義務感でするHも虚しいもんだ。
私は、同窓会、弾けて飲んでこよう、そう心に決めた。
そしてー。
「んじゃ、同窓会行ってきまーす。晩御飯食べといてなー。」
「ラーメンでも食べに行ってくるわー。んじゃねー。」
そして私は同窓会に出席した。
ちょっといいホテルのお食事。
だけど私はクロマニヨンズTシャツにミニオンのリュックと、いつもの格好で挑んだ。
「あ、光!なんか若い格好してるなー。」
「光?元気してるん?結婚は?子どもは?」
たくさんの懐かしい顔ぶれに話しかけられる。
おしゃれなキレイ系の服なんて持ってないし、不妊治療してることも隠さずに短く喋った。
「あ、なんか光と同じような格好してきた男の子おるで。」
見ると頭にタオルを巻いてヨレヨレのTシャツとジーパンで現れたチョビヒゲ男がいた。
「お久しぶり!えっと、誰やったかな?」
私が話しかけると、笑って応えてくれた。
「誰って、コウスケやん!バンド部で一緒やったやん!」
「ああ、こうちゃん!久しぶりやなー。」
「光、元気そうやな。クロマニヨンズTシャツやんか。まだバンドとか?」
「さすがにただの主婦やわwカラオケは今でも好きやけど。」
「良かったら二次会俺らとカラオケ行こう!」
私は男の子たちと二次会のカラオケに行った。
「くすりづけでもっいきろー♩」
こうちゃんは竹原ピストルなんか歌ってる。変わらんなー。
「光ちゃん、不妊症なんやってー?」
よしくんという男の子が斬り込んでくるけど、私は別に戸惑わなかった。
「そやねん、今病院行ったりして頑張ってるとこー。」
「旦那と相性悪いんちゃうのー?俺としてみたら生まれるかもよー?」
「そうかなーって、なんでよしくんとせなあかんねん。」
「あかんのー?」
「あかんしー。」
そう答えたところで、こうちゃんがよしくんを連れて外へ行った。
そしてしばらくして、こうちゃんだけが帰ってきた。
「光、ごめんなー。よしもう帰らせたわー。」
「あ、ごめんありがとう。そんな気ぃつかわんでいいでー。」
「いいねん。なんかよしって、教育大学受かってたやん?その大学も留年しまくってやめて、塾の先生の仕事もセクハラして首になって、今ホストしてるらしくてなんか今日も女の子にさっきみたいな声かけばっかりしてたから。それはそうと、光、子どもおらへんねやったら自由にできる?実は、俺、介護施設で働いててバンド組んでて、今ジュディマリしたいなって話になってて、ボーカル探してたんやけど。」
「介護施設でバンド?んじゃお年寄りの前でジュディマリすんの?」
「そうそう!うちの施設、バンドとか音楽好きやねん。」
私は一旦バンドの話を持ち帰った。
「ただいまー。」
「お帰りー。同窓会どうやった?」
「みんな元気そうやったわー。あんな、私高校のときバンド部しとったやん。そのバンド部のこうちゃんっていう子がな、介護施設でジュディマリしたいからボーカル探してるらしいねんけど。白羽の矢きたんやけど、やってもいいかなー?」
「え?こうちゃん?男の子と遊んでくるの?」
「遊ぶんじゃないよ、介護施設でライブするんやって。こうちゃん、いい子やで。今日もよしくんに下ネタで絡まれてるとこ助けてもらった。」
一哉は下ネタ、というところで嫌そうな顔をした。
なので、じっくり今日あった話をした。
「不妊治療してるとか言うからやん。こうちゃんがどんな子かは知らんけど、光が歌いたいんやったら好きにしたらいい。俺関係ないし。」
一哉は終始ご機嫌悪そうに話を終わらせた。
関係ないしって何?旦那やん!
心に寂しいものを抱えたまま、私はこうちゃんにバンドOKのLINEを送った。
「今週も妊娠はしていないようですね。次、人工授精か、思い切って体外受精かのステップに進むのがいいと思うのですが。」
「人工授精か体外受精ですか!はい、旦那と話し合ってきます。」
私は診察室を出て、しばらくボーっとしていた。
診察についてきているどこかのご主人。二人目妊娠しようと可愛い子供を連れてるお母さん。皆、一人じゃないように思えた。
Hも義務的にやってて、一哉もあまり協力的じゃないし、私は、なんか途方もなく一人ぼっちな気がした。
ピロン
「あ、LINE。。。こうちゃんか。今日はバンドメンバーの都合で、1時間遅らせたいんやけど、大丈夫?やって。うーん。。。」
私はこの途方もない一人ぼっち感をなんとかしたくて、ついこう返してしまった。
「んじゃ1時間話聞いてー。ちょっと落ち込んでるねん。」
ピロン
「ええで!マクドでも食べながら話そう!」
マクドナルドて学生かwせめてサイゼリヤwとかちょっと笑いながら、私はこうちゃんに話を聞いてもらうことにした。
でも、こんなんから浮気が始まるっていうし。。。
そしてマクドナルドで待ち合わせして、こうちゃんはなんとハッピーセットを頼んだ。
私が不思議そうな顔をすると、
「おれバツイチなりかけw3歳の女の子がおるねんw」
とこうちゃんが身の上話をしてくれた。
こうちゃんは介護施設の同僚と出来ちゃった結婚したらしい。
だけど介護施設でリーダーを務めるこうちゃんは、サービス残業だらけ、夜勤だらけで、あまりお家のことにかまっていなかったのだとか。
それに嫌気がさした奥様が子供を連れて実家に帰ってしまい、もう半年が経っているらしい。奥様からは当分ほっといてとの連絡があったっきりだそうで。
「多分振られると思うわw嫁は光って書いてひかるっていうねん。俺はひかりのほうがええなぁー。あ、いやその。」
「え?何言うてんのこうちゃん。」
まるで高校生の頃のような感覚。こうちゃんと私は確かにあの頃も仲が良くて、よく付き合ってるの?って聞かれてたっけ。。。でも。。。
そして今度は私の話。不妊治療の難しさに、こうちゃんはうんうん唸っていた。
「おれみたいに出来てしまうのも問題やけど、出来へんっていうのもすごい大変よな。旦那さんも不妊体質なんやろ?なんで協力してくれへんの?」
「一哉は自分が不妊体質なこと認めたくないんよ。だから薬もあんまり飲んでないねん。」
「それはあかんなー。光ももっと夜上手に誘わなあかんてー。」
「何それー。誘うってどんなんよー。」
「Hする日決められてるんやったら、その日はコスプレして待っとくとかさー。」
二人して笑った。私は一人ぼっち感が消えていっていて元気になってきた。
こうしてこうちゃんと私は仲良くなっていき、一哉とはまだ不妊治療が上手くいかないまま過ごしていた。
バンド活動なんて高校生の頃のようなことをしていることもあって、こうちゃんといるとワクワクする。
私、どうなるんだろう。どうするんだろう。
旦那の一哉とは結婚して6年。
どうやらお互い不妊体質で子どもはいない。
試食販売員のアルバイトしながら不妊治療に通ってるとこ。
そんなある日、同窓会のお誘いがやってきてー。
ピロン
「あ、LINEやー。うえちゃん?めっちゃ珍しいなー。この度高校の同窓会を開くことになりましたやって。是非ご参加くださいって。」
私は一哉に話しかけながらLINEを確認する。
「ふーん。いってらっしゃいー。」
一哉はテレビのニュースに夢中で興味なさそう。
「んじゃ、同窓会行くわ。それはそうとして、今日か明日、仲良ししてきなさいって言われたんやけど。。。どうする?」
私は携帯をいじりながらも一哉を伺う。
「あー。。。んじゃ明日Hしよかー。」
「んじゃよろしくねー。」
明日しようと言う一哉はしんどそう。義務感でするHも虚しいもんだ。
私は、同窓会、弾けて飲んでこよう、そう心に決めた。
そしてー。
「んじゃ、同窓会行ってきまーす。晩御飯食べといてなー。」
「ラーメンでも食べに行ってくるわー。んじゃねー。」
そして私は同窓会に出席した。
ちょっといいホテルのお食事。
だけど私はクロマニヨンズTシャツにミニオンのリュックと、いつもの格好で挑んだ。
「あ、光!なんか若い格好してるなー。」
「光?元気してるん?結婚は?子どもは?」
たくさんの懐かしい顔ぶれに話しかけられる。
おしゃれなキレイ系の服なんて持ってないし、不妊治療してることも隠さずに短く喋った。
「あ、なんか光と同じような格好してきた男の子おるで。」
見ると頭にタオルを巻いてヨレヨレのTシャツとジーパンで現れたチョビヒゲ男がいた。
「お久しぶり!えっと、誰やったかな?」
私が話しかけると、笑って応えてくれた。
「誰って、コウスケやん!バンド部で一緒やったやん!」
「ああ、こうちゃん!久しぶりやなー。」
「光、元気そうやな。クロマニヨンズTシャツやんか。まだバンドとか?」
「さすがにただの主婦やわwカラオケは今でも好きやけど。」
「良かったら二次会俺らとカラオケ行こう!」
私は男の子たちと二次会のカラオケに行った。
「くすりづけでもっいきろー♩」
こうちゃんは竹原ピストルなんか歌ってる。変わらんなー。
「光ちゃん、不妊症なんやってー?」
よしくんという男の子が斬り込んでくるけど、私は別に戸惑わなかった。
「そやねん、今病院行ったりして頑張ってるとこー。」
「旦那と相性悪いんちゃうのー?俺としてみたら生まれるかもよー?」
「そうかなーって、なんでよしくんとせなあかんねん。」
「あかんのー?」
「あかんしー。」
そう答えたところで、こうちゃんがよしくんを連れて外へ行った。
そしてしばらくして、こうちゃんだけが帰ってきた。
「光、ごめんなー。よしもう帰らせたわー。」
「あ、ごめんありがとう。そんな気ぃつかわんでいいでー。」
「いいねん。なんかよしって、教育大学受かってたやん?その大学も留年しまくってやめて、塾の先生の仕事もセクハラして首になって、今ホストしてるらしくてなんか今日も女の子にさっきみたいな声かけばっかりしてたから。それはそうと、光、子どもおらへんねやったら自由にできる?実は、俺、介護施設で働いててバンド組んでて、今ジュディマリしたいなって話になってて、ボーカル探してたんやけど。」
「介護施設でバンド?んじゃお年寄りの前でジュディマリすんの?」
「そうそう!うちの施設、バンドとか音楽好きやねん。」
私は一旦バンドの話を持ち帰った。
「ただいまー。」
「お帰りー。同窓会どうやった?」
「みんな元気そうやったわー。あんな、私高校のときバンド部しとったやん。そのバンド部のこうちゃんっていう子がな、介護施設でジュディマリしたいからボーカル探してるらしいねんけど。白羽の矢きたんやけど、やってもいいかなー?」
「え?こうちゃん?男の子と遊んでくるの?」
「遊ぶんじゃないよ、介護施設でライブするんやって。こうちゃん、いい子やで。今日もよしくんに下ネタで絡まれてるとこ助けてもらった。」
一哉は下ネタ、というところで嫌そうな顔をした。
なので、じっくり今日あった話をした。
「不妊治療してるとか言うからやん。こうちゃんがどんな子かは知らんけど、光が歌いたいんやったら好きにしたらいい。俺関係ないし。」
一哉は終始ご機嫌悪そうに話を終わらせた。
関係ないしって何?旦那やん!
心に寂しいものを抱えたまま、私はこうちゃんにバンドOKのLINEを送った。
「今週も妊娠はしていないようですね。次、人工授精か、思い切って体外受精かのステップに進むのがいいと思うのですが。」
「人工授精か体外受精ですか!はい、旦那と話し合ってきます。」
私は診察室を出て、しばらくボーっとしていた。
診察についてきているどこかのご主人。二人目妊娠しようと可愛い子供を連れてるお母さん。皆、一人じゃないように思えた。
Hも義務的にやってて、一哉もあまり協力的じゃないし、私は、なんか途方もなく一人ぼっちな気がした。
ピロン
「あ、LINE。。。こうちゃんか。今日はバンドメンバーの都合で、1時間遅らせたいんやけど、大丈夫?やって。うーん。。。」
私はこの途方もない一人ぼっち感をなんとかしたくて、ついこう返してしまった。
「んじゃ1時間話聞いてー。ちょっと落ち込んでるねん。」
ピロン
「ええで!マクドでも食べながら話そう!」
マクドナルドて学生かwせめてサイゼリヤwとかちょっと笑いながら、私はこうちゃんに話を聞いてもらうことにした。
でも、こんなんから浮気が始まるっていうし。。。
そしてマクドナルドで待ち合わせして、こうちゃんはなんとハッピーセットを頼んだ。
私が不思議そうな顔をすると、
「おれバツイチなりかけw3歳の女の子がおるねんw」
とこうちゃんが身の上話をしてくれた。
こうちゃんは介護施設の同僚と出来ちゃった結婚したらしい。
だけど介護施設でリーダーを務めるこうちゃんは、サービス残業だらけ、夜勤だらけで、あまりお家のことにかまっていなかったのだとか。
それに嫌気がさした奥様が子供を連れて実家に帰ってしまい、もう半年が経っているらしい。奥様からは当分ほっといてとの連絡があったっきりだそうで。
「多分振られると思うわw嫁は光って書いてひかるっていうねん。俺はひかりのほうがええなぁー。あ、いやその。」
「え?何言うてんのこうちゃん。」
まるで高校生の頃のような感覚。こうちゃんと私は確かにあの頃も仲が良くて、よく付き合ってるの?って聞かれてたっけ。。。でも。。。
そして今度は私の話。不妊治療の難しさに、こうちゃんはうんうん唸っていた。
「おれみたいに出来てしまうのも問題やけど、出来へんっていうのもすごい大変よな。旦那さんも不妊体質なんやろ?なんで協力してくれへんの?」
「一哉は自分が不妊体質なこと認めたくないんよ。だから薬もあんまり飲んでないねん。」
「それはあかんなー。光ももっと夜上手に誘わなあかんてー。」
「何それー。誘うってどんなんよー。」
「Hする日決められてるんやったら、その日はコスプレして待っとくとかさー。」
二人して笑った。私は一人ぼっち感が消えていっていて元気になってきた。
こうしてこうちゃんと私は仲良くなっていき、一哉とはまだ不妊治療が上手くいかないまま過ごしていた。
バンド活動なんて高校生の頃のようなことをしていることもあって、こうちゃんといるとワクワクする。
私、どうなるんだろう。どうするんだろう。