こんなにも大切に想ってくれている大蔵を、私も同じくらい好きになりたいと思う。

友達とも、兄妹とも、家族とも、そのどれもにあてはまらない関係は、一言で言うにはあまりに難しい。

けれど、壊したくはない。


「……文化祭、一緒に回ろう」

残りの帰り道は手を繋いで歩いた。

「うん」

頷けば、大蔵は優しい顔をして笑った。

明日は一日授業はなくて、文化祭の準備をすることになっている。

それが終われば次の日はもう、文化祭当日。

大蔵はどこに行きたいと言うだろうか。

大蔵は食べることが好きだから、うちのクラスのたこせんべいをこっそりサービスして渡したら、きっと喜ぶだろうな。

「大蔵のクラスは何するんだっけ?」

「オバケ屋敷」

「へ、へえ……」

「来んの?」

「い、行くよ」

「無理すんなって。お前、昔からオバケ苦手だろ」

「う……」

そうだけど。

大蔵のクラスにも行ってみたい。
せっかくだから、大蔵が店番をしている時がいい。

苑実を誘えば、ついて来てくれるだろうか。

「じゃあ、俺が店番じゃない時な。一緒に入ってやるから」

そう言って、頭をくしゃくしゃと撫でられる。

いつもは乱暴に髪をぐしゃぐしゃにするくせに、壊れ物でも扱うような優しい感触に、甘く酔わされそうになる。

それは私がもう大蔵の彼女だから、なのかな……。