ポタリと大きな水が零れ落ちて、シーツに染みを作っていく。

「ごめんね、苑実……」

歪んだ世界で、苑実がどんな顔をして私を見ていたのか分からない。

「……ゆっくりでいいよ。大丈夫だから」

だけど、酷く優しい声で私を慰めながら、ずっと背中をさすり続けてくれた。

こんなにも泣いたのはいつぶりだったろう。

もうずっと何年も、こんな風に感情を表に出したことはなかった。

コントロールが効かなくて、時々しゃくり上げて聞き取りにくい私の言葉を苑実はずっと頷きながら聞いてくれた。

お母さんの話をしている途中では、苑実も少し泣いていた。

「みあ、ごめんね。あたし何も知らなくて、一人で辛かったね」

そんな風に言ってくれて、また涙が止まらなくなった。

自分のことを誰かに聞いてもらうことで、こんなにも心が軽くなるだなんて、知らなかった。

自分が勝手に背負ってきたものを、大切な人にまで背負わせてしまう必要なんてないと思っていたから。

でも苑実は、それが友達なのだと言った。

大切だからこそ聞いてほしいし、知りたい。

気持ちを共有して、一緒に悩みたい。

解決したり、答えに辿り着かないこともあるのかもしれない。

だけど、一人で抱え込む必要なんてないのだと、苑実は言ってくれた。

傍にいてくれる人がいるというだけで、それほど心強いことはないのだからと。