~奏side〜

昼休みになってもなかなか来ない蘭ちゃんが心配でみんなで探しに行くことになった。


教室に行っても姿がなくて、近くの子に聞いてみると、


少し前に3人組の先輩に呼び出されていた、と聞いて少し焦ってしまう。


いつも1人で背負い込んでしまうあの子の事だから、


もしリンチにあっていたとしても俺達には決して教えてくれないんだろうな。


その事態だけは避けたいとリンチの定番である体育館裏に急いで行ってみると、蘭ちゃんが女達と言い合いをしているようで。


しばらく見ていると女達は笑いながら校舎に入って行ったから俺達も蘭ちゃんの所に行こうとするけど、


どこからかため息が聞こえてきた。


だけどそれは俺達のものではない。


思わず彼女の方を見ると、いつもとは全く違う無表情で何も写していない瞳で地面を見つめる彼女がいた。


あぁ、あの子はやっぱり自分を隠しているんだ。


俺達はあの子のためになにをしてやれるんだ。


それを思っているのはたぶん俺だけではない。


きっとみんなも同じ気持ち。


女には一切興味のないあの湊が自分からあの子に近寄ろうとするんだから、


本気なんだろうな。


湊は本気であの子の事が救いたいんだ。


そんな湊の姿を見たんだから俺らがついていかない訳ないよね


湊「おい、行くぞ」



俺たちが屋上で待っていることを忘れてしまったのか、木の影寝てしまった彼女の所へ皆でむかうことになった。