「これはバイトで火傷しちゃって。カフェのキッチンだから さ。いつもはこんな事ないんだけどね。」

やめて。これ以上聞かないで。

そんな思いを込めてみんなを見つめる。

その思いを受け取ってくれたのかこれ以上問い詰められることはなかった。


少しの沈黙のあと、

奏「ねぇ、蘭ちゃん。」

奏が真剣な顔で私に話しかける。

「どうしたの?」

奏「やっぱり、バイトの量、減らしてくれる?」

奏は私の話を聞いていたのだろうか

「話、聞いてくれてた?」

奏「聞いてたよ。でも、蘭ちゃんが倒れたら
それこそ弟達を守れないよ?
それにいつ敵に狙われるか分からない。
だから、新聞配達とコンビニのバイトはやめて
ほしい」

奏が言ったことに湊音も賛成して、

湊「そうだな、カフェのバイトだけでも充分
だろう。バイトの送り迎えは俺らがする
家に帰りたくないなら倉庫に帰ってくれば
いい。ここがお前のもうひとつの家だ」

そんな温かい言葉をかけられたのは本当に久しぶりで泣きそうになるけれど、

まだあなた達の前でもこの仮面は外せない。

この仮面の下はずっと無表情なんだから。

「そう、だね。分かった、やめるよ
ごめんね、送り迎え。迷惑かけて 」

優「迷惑なんかじゃない」

夏「俺はどっちでもいい」

奏「迷惑じゃないよ」

廉「僕、蘭ちゃんの送り迎えいっぱいする!」

湊「大丈夫だ。俺らはいつでもお前の味方だ」


もっと早く出会っていたら、なにか変わっていたのかな。

でもこんな優しい人たちにこれ以上迷惑はかけられない。

「みんな、ありがとう!」

今日も私は笑顔で自分を隠すんだ。