「さて、名残惜しいですが、いよいよ次で最後の問題となります」

伊織が言うと、「ええ〜!!」という声があちこちから聞こえ、風子たちは嬉しくなる。

「最後の問題は、きっとすぐにわかると思います。なので、答えはホワイトボードに書かず、わかった人は一斉に言ってください」

愛がそう言うと、グループの代表者たちは足元にホワイトボードとペンを置いた。

真衣が問題を出す。

「東南アジアの島国。公共の場は基本的に禁煙など、ルールが厳しい。首都はシンガポール!」

全員の顔が、わかった喜びで輝く。体育館に全員の声が響いた。

「シンガポール!!」

盛り上がる様子を見ていた生徒会三人は、心の中で呟いた。

投票なんてする必要がない、と……。

風子たちに向けられた歓声は、止むことがなかった。



感謝祭から一週間後。世界研究部はちゃんと存在している。

今日も、風子は部室のドアを開けた。

「パイヴァー!(フィンランド語でこんにちは)」

すぐに他の部員たちからも、外国語での挨拶が返ってくる。その光景が、風子にとって嬉しい。