部室へと足が近づく度に、風子の胸は緊張した。

「お客さん、来てくれてるといいなぁ」

そう呟く風子に、沙羅が「大丈夫ですよ、きっと!」と明るく言う。

「だって、みんな一生懸命やって来たんです!きっと成功します。それに、部室はきっと、幸太先輩と拓也先輩と真司が盛り上げてくれてるはずです」

「まあ、幸太くんはいじられキャラだしね〜」

部室のドアの前に立つと、部室の中が騒がしい。それは人が多く集まっている証拠だ。

風子は沙羅と笑顔で見つめ合う。そして、ドアを開けた。

「ドブリー・デン!(チェコ語でこんにちは)」と風子。

「ジャンボ!(スワヒリ語)」と沙羅。

あまり広くはない部室は、人であふれていた。みんなの顔は、興味や笑顔であふれていて、風子と沙羅は安心する。

「あっ、風子!屋台の方は大丈夫なのか?」

民族衣装の説明を終えた拓也が、風子と沙羅に気づき、声をかける。

「もう完売しちゃったの」

風子がそう言うと、「えっ!?マジかよ!」と拓也の隣で幸太が驚く。