四月十日。この日、i高校では、一年生たちに向けて部活紹介が行われていた。

この時期、どこの部活でも、多くの一年生を入部させるために争奪戦が繰り広げられる。それは文化部も運動部も関係ない。

i高校には、謎の部活が存在する。生徒の多くがその部活の活動内容を知らない。

校舎の一番奥にその部活は存在する。その名もーーー世界研究部。



「みんな着替え終わった?」

色彩豊かな衣装を着た女の子が、体育館のステージの横でステージを見ている五人に訊ねた。

「大丈夫!」

女の子に訊かれると、みんな緊張したように頷いた。

女の子の名前は吉田風子(よしだふうこ)。i高校の二年生。

風子が着ているのは、高校の制服ではなくコルトというフィンランドの少数民族の衣装だ。

「イギリスは、学校が始まるのは四月じゃないんでしょ?」

風子の隣に、たくさんのかわいい花の刺繍が編み込まれた衣装の女の子が立ち、声をかける。女の子の名前は糸川梨花(いとかわりか)。風子と同じ部活の部員だが、家庭部とも掛け持ちをしている。