わざとらしく吐息交じりで呟かれる声が、身体をゾクッさせて。


背筋がくすぐったくなる感覚。


「もっと、触れて欲しいんでしょ?」


意地悪だ。
早凪くんは、出会った頃からずっと。


でも、今はその意地悪さえ、愛おしいと思っていて。


早凪くんとまともに話せなかった期間、気がおかしくなっちゃいそうで。


自分でも、こんなこと初めてでびっくりで。


自分の汚いところも知らなかった感情も、早凪くんを好きになったことで、たくさん知ってしまった。


「触って、ほしい、です」


自分でもおかしなことを言っているの十分わかっているけれど。


私だってずっと、ここ数日、我慢ばかりだったから。


「……っ、ほんと、今のはゆるが悪いから。やめてって言っても聞かないよ」


目の前の早凪くんは、夜空の月明かりに照らされて、いつもよりも数倍色っぽくて。