「同じ……気持ちって……?」
そう聞くと、早凪くんの私を抱きしめる手に力が入って。
声が緊張で震えて、心臓はさらにばくばくとうるさい。
「……ゆるが、俺のこと好きになったらいいのにって」
「……っ、」
嘘。
嘘だ。
こんな……夢見たいな話。
早凪くんは、どれだけ私の気持ちをかき乱したら済むんだろうか。
こんな都合のいい話……。
「ゆる?なんか言ってくれない?」
「嘘……嘘だよ!早凪くんが私のこと好きなんて!」
あまりに唐突なことで驚いて、早凪くんから離れようとすると案外簡単に手は解かれて、今度は彼の隣に少し間をあけて座る。
「だって……莉々ちゃん……」
莉々ちゃんは、あんな風に言ってたけど、早凪くんが莉々ちゃんのことを本当はどう思ってるのか。
「うん。ごめん。瑛斗に言われたように、俺すごく中途半端だった。莉々のこと面倒見なきゃいけないって、無意識にそんな使命感が俺の中に出来上がってて。でも、それ以上に、ゆるの笑った顔を一番近くで見たいって、思ったよ」