あれから、泣き疲れた莉々ちゃんに「もう寝るから出て行って」と言われて、仕方なく下に降りて。


みんなに莉々ちゃんが少し落ち着いたことを話したら、安心してくれた。


円の家の運転手さんが迎えにきて、円が寮を後にして。


翼くんや瑛斗さんは、私に「お疲れ様」と優しく声をかけてくれて。


これからももっと、莉々ちゃんと向き合っていければなって思った。


「……ゆる、ちょっと」


「あ、うん」


早凪くんに、『話があるからついてきて』と合図されて、私は早凪くんの後に続いてリビングを出た。


連れてこられたのは、早凪くんの秘密のハンモックがある屋上。


夜のそよ風で、後れ毛がなびいて。


さっきまでバタついて熱くなっていた体を冷ましてくれる。


早凪くんがハンモックに腰を下ろしてから、こちらに手を広げてきた。


「おいで、ゆる」


「……っ、」


まだまだ、早凪くんの気持ちが全然わからない。


そう思っていながらも、手は自然と伸びていて彼の手に触れた。


その瞬間、身体が引き寄せられてフワッと彼の手の中に収まる。