「……初めて莉々ちゃんを見たとき、なんかやだなって思った。早凪くんにべったりで、翼くんや瑛斗くん、明人さんとも仲が良くて。まるで自分の居場所を取られた気分になって」
「……」
「早凪くんは、莉々ちゃんのことなんでも知ってて、早凪くんはきっと莉々ちゃんのことが大好きなんだって思った」
「はぁ?!何言って……!」
なぜか、莉々ちゃんが顔を上げてそう言って怒り出す。
やっとこっちを向いてくれたことに、少しホッとして。
莉々ちゃんが、控えめに続けて口を動かす。
「そうね。早凪は、莉々のこと好きよ。莉々のことなんでも良くわかってるし、大好きなの」
「……っ、」
本人の口から自信満々にそう言われて、胸のあたりが締め付けられる。
「でも……」
莉々ちゃんの声は、さらにか細くなりながら続ける。
「でも、幼なじみとして。莉々が何をどう頑張ったってそれは揺るがない。昔からずっと。早凪はね、莉々のこと女の子として一度も見てくれない。ほんと……悔しい」
そう言って、莉々ちゃんはギュッと浴衣をシワになるぐらい握り締める。