「莉々ちゃんっ!」


浴衣のまま二階へと上って。


客室であり今莉々ちゃんが使っている部屋のドアの前で名前を呼んで、ノックする。


ここにいるかどうかわからないけれど……。


「莉々ちゃん、入ってもいい?」


「……」


中から声はしないけれどドアノブに手をかけて見ると、ガチャリと開いた。


「莉々ちゃん……」


「なんであなたが来るのよ……」


部屋にいた莉々ちゃんは、ベッドの上で体操座りをして、こちらを睨みつけていた。


まだ泣き続けていたらしくて、顔が濡れている。


泣き顔でも充分可愛らしいので、やっぱりすごいなって思う。


「莉々ちゃん、ごめんなさい。何も知らないで、色々と」


「……っ、」


よくよく考えたら、私の方がこの寮に来たのは後なわけで。


莉々ちゃんが毎年早凪くんに会うのを楽しみにしててわざわざアメリカから飛んできているのに、私みたいな新顔がいちゃ、そりゃ複雑だ。


それに加えて、今年は最後だって決めてきてるぐらいだもん。