さらにうつむくと、頭に軽い衝撃が走った。ポンポンと、優しく頭を撫でてくれる本田君。大丈夫だよというように、私を包みこんでくれる。大きくてたくましい手のひら。
「寂しくなったら、俺を呼んで。いつでも、どんな時でも、絶対に駆けつける。柳内さんが寂しくないように、ずっとそばにいるから」
本田君の声はとても穏やかで、優しくて。それはスーッと私の胸の中に溶けこんだ。
どうしてこんなに優しくしてくれるの。
ダメだってわかってるのに、本田君の優しさに甘えたくなってしまう。
「って、よく知りもしない奴に、いきなりそんなことを言われても困るだけだよな」
「ううん、そんなことないよ。あり、がとう」
私がそう言うと、本田君は口元をゆるめて優しく笑った。
つい数日前まで話したこともなく、ただのクラスメイトだった本田君。
そんな本田君と今こうして二人でいることが未だに信じられないけど、一緒にいると落ち着く。
「本田君って、優しいところもあるんだね」
「なに言ってんだよ、優しさしかないだろーが」
「えー? そんなことないでしょ。結構ズバズバもの言うし」
「俺以上に優しい奴がほかにいるかよ」
「高木君も優しいよ」